第12章 竜飛
「どうした?」
「いや…この前こいつ、俺に会いに来た」
「…へえ…結構、本気なんだね」
「どういうことだ」
「御大自らお出ましってことは…危ないって思ってんじゃない?」
画面に映る50代の男は、写真で見てもやっぱり何を考えているのかわからない目をしていた。
世を全て捨て去っているようなのに、裏では金にギラギラしたえげつない野郎…
「覚えたね?」
「ああ」
山下はスマホを懐に仕舞った。
「それから…あいつの情報だけど」
「ああ」
「今はちょっと掴みきれてない。分かり次第連絡する。俺はこれからロスだから、同僚にやらせる」
「連絡は俺によこしてくれ」
草彅が口を挟む。
「わかった。岡田って奴だ。口が固いから心配ない」
「ありがとう」
「へ…ありがとう、ね」
くすくす笑うと山下は重い扉を開けて出て行った。
「あんた、気に入ったよ」
声だけ残していった。
「なんだ…あいつは…」
「ま、ちょっと変わってますね」
「チョットじゃねえだろ…」
「でも、ああいうキャラだから俺達にコンタクト取ってきたんだと思いますよ」
「あっちから接触してきたのか」
「ええ…」
「大丈夫なのか…?」
「さあ」