第12章 竜飛
後悔と慚愧の念が拭いきれないまま俺は抜け殻のように過ごしてきた。
だけど…翔、俺は…たったひとつの答えが欲しくてなんとか踏ん張って生きてきたんだ。
だけどこんな答えが欲しくて生きてきたわけじゃない
どんな現実よりも残酷で、どんな現実よりも冷酷で
一体、お前はどうやって生きてきたんだ
俺と出会うまで、お前はどこに依って生きてたんだ
こんな寒い場所で…お前は死ぬような人間じゃない
「う…あ…」
堪えきれず漏れだす嗚咽を噛み殺すために手のひらで口を覆った。
次から次へとあふれだす涙は、俺の手を乗り越えて地面にぼたぼたと落ちていく。
膝の力が抜けて地面に突っ伏すと、冷たいアスファルトに手を当てた。
こんなに冷たい…
こんなところで…
翔…そこは冷たいか
まだ、お前はここに居るのか
空を見上げた。
なにも見えない真っ暗な夜空。
俺の弱さ…
わかってる。
俺の弱さが翔を死なせた。
ごめんな。
こんなところで。
「待ってろ…」
呟くと、身体に力が戻った。
顔を袖でぐいっと拭うと立ちあがった。
背中に手が置かれた。
「総長…」
二宮の凛とした声が聞こえた。
「ああ。待たせた。行こう」