第12章 竜飛
祐也と一緒にタバコを一本吸ったら、リビングに向かった。
そこも葬式みたいな雰囲気で…
増田も慶も見てしまったらしい。
「気にすんな…で、データは?」
「ここに…」
薄いノートパソコンをシゲが出してきた。
「これ、このまんま持ってってください」
「いいのか?」
「ええ。当時、翔さんが使ってた環境になるべく近づけておきました」
「そうか。ありがとうな」
増田が立ちあがって俺に封筒を差し出した。
「後これ…どこにも出すなって預かったんです」
「翔が?」
「ええ…中身確認したんですが、データは綺麗サッパリなくなってて…」
慶の方を増田は見た。
「復元できたんで…一応…」
「そうか…」
「あの…このこと、ご存知だったんですか?」
慶の表情が暗い。
だろうな…あんなこと、普通じゃ考えられない…
「つい最近まで知らなかった」
「総長…」
「だからここには、俺がまだ知らないことが入ってるかもしれない。助かった。よく探してくれた…復元してくれた…」
立ちあがって頭を下げた。
「やめてくださいっ…総長!」
シゲが慌てて俺を押し戻す。
「そんな…最後みたいな言い方…」
ぐっと唇を噛みしめると下を向いてしまった。
「ばぁか…なに言ってんだよ…」