第12章 竜飛
ふぅっと息を吐き出すと草彅と入れ違いで二宮が入ってきた。
「総長…」
「ああ…いいぞ」
「すいません。シゲから連絡があって…」
スマホを取り出してみたら着信があった。
「すまん、気づかなかった。なんだって?」
「見つかったそうです…翔さんの…」
「…そうか…」
見たくない…
胸に痛みが走った。
翔は…どんな思いで…
「総長…行きましょう…」
「ああ…」
二宮が俺の腕を引いた。
まるで俺の心を見透かしたように背中を押す。
「さあ…」
ありがとう…
「行くぞ」
「はい」
扉を開けると、相葉と松本が待っていた。
「一緒に行きます」
「わかった…」
三人が俺の後ろをついてくる。
事務所の出口を出ると、車が横付けされていた。
「いってらっしゃいましーっ」
若衆が並んで俺たちを送り出す。
松本がドアを開けて後部座席に乗り込む。
松岡が事務所を出てきた。
「総長…」
窓ガラス越しに話しかけてくる。
パワーウインドウを下げると、少し顔を突っ込んだ。
「小杉組、解散書を提出しました…シマは相葉に…」
「わかった。東山と近藤は?」
「それでいいと」
「じゃあ、それで進めてくれ」
「わかりました。お気をつけて」
頷くと、にやりと松岡は笑った。
手を振って車から離すと、俺もにやりと笑ってやった。