第12章 竜飛
「なにふざけたこと…」
「草彅…相葉と松本を頼みたい」
「は…?」
「俺が…どうかなっちまったら、あいつらのこと…」
「おい…智」
草彅は歩み寄ってきて俺の肩を持ってぐいっと身体を上げさせた。
「ふざけんな…ここまできたら、死ぬまでアンタに付き合う」
「だめだ」
「あんたがなんと言おうと…あのふざけた親父は俺が殺す」
「草彅…あんたにゃ生きててもらわないと…慎吾兄に顔向けできねえよ…」
「あいつだってわかってる。これが極道だってな…」
「…死ぬのは…俺だけでいい…」
「智っ…」
「わかってくれよ…頼む…」
「もう…戻れねえよ」
「草彅…」
「公安と渡りがついた」
「え…?」
「成田と敵対してるやつらだ…」
「なんだと…?」
「櫻井の親父を叩くだけでいいのか?俺は、そうは思わない。全員ぶっ潰す…」
草彅は拳を握りしめて机を殴りつけた。
「なあ、智よ…俺は、刺し違えてでもあいつらぶっ潰すつもりだ。おめえはどこまでやるつもりなんだよ」
「…聞くまでもねえだろうが…」
ふっと笑うと、俺から身体を離した。
「安心した…公安の方は任せてくれ」
「いや、俺にも会わせろ」
「そのうちな」
ひらひらと手を振ると、草彅は部屋を出て行った。