第11章 竜に翼を得たる如し
小杉は顔を歪めて醜く下卑た笑いを見せた。
「おまえの親は大野守じゃねえ」
「…なに言ってんだよ」
「おまえの親は喜多川の親父だ…嘘じゃねえぞ…母親は景子だ」
「な…に言ってんだよ…」
「うすぎたねえ血が流れてんだよ…おめえは。叔父と姪の近親相姦の末に生まれたガキなんだからな…」
ガタンと後ろで音がした。
「小杉…てめえ適当なこと吹いてんじゃねえ…」
草彅が言いながら小杉を蹴りあげた。
「はっ…嘘だと思うなら、景子探しだして聞いてみりゃいいだろうが!だから智は総長なんだよ!てめえの力で成り上がったと思ってんじゃねえぞ!」
「……それがどうした」
「…え…?」
「だから、それがどうしたってんだよ?」
「てめえ…知ってたのか?」
「知らねえよ、そんなこと。俺が誰の股から生まれたって、そんなこと関係ねえだろうが」
なんとなく、わかっていた。
小さい頃から感じていた違和感。
だけど俺はそれを気づかないふりをした。
だから矢崎のことも親父には言えなかった。
親父の子供で居るために…
それが喜多川の親父と景子姐さんだったとは…
あの二人から感じるものにはなにか特別なものがあると思っていた。
これが、答えか…