第11章 竜に翼を得たる如し
「…おまえさえ…おまえさえ居なけりゃ…」
「ばかやろ…自分の力がねえのを人のせいにすんな」
相葉が後ろからナイフを差し出した。
「使ってください」
「今はいい…おまえ持ってろ」
「はい」
しゃがんで、後ろのダンボールに凭れかかって座っている小杉の襟首を掴んだ。
「おまえの知ってることを全部吐いたら、命は助けてやる」
「はっ…嘘つけ…バラして捨てるんだろうよ」
「教えて欲しいことを教えてくれたら、見返りやるって言ってんだよ…」
それでも小杉は疑ったまま、表情を変えない。
「吐かねえなら、吐かせるしかねえんだけどよ?」
「うるせえっ…」
「隠し立てしたって、もうおまえになんの得もねえだろうが」
小杉の白髪交じりの髪を掴んだ。
「おまえ、どこからの情報でレアアースの投機始めたんだ?」
「言うかよっ…どうせ死ぬんだ…言わねえよ」
「いい根性だ」
相葉に手を差し出した。
そこに刃渡りが20センチほどのサバイバルナイフが置かれた。
ぎりっと握り締めると、小杉の顔の前に突き出した。
「今から、これでいたぶるぞ?いいんだな」
「やれや…舐めんなや…」
つ、と小杉の頬を切り裂いた。
血が、少しだけ流れた。