第11章 竜に翼を得たる如し
次の日から相葉と松本が動き出した。
小杉はもう喜多川の事務所には顔を出さなくなっていた。
組事務所や自宅に篭もりきりだということだった。
そこをどうやっておびき出すか…
ヘタしたら戦争になりかねないが、今の小杉組にはもうそんな力は残っていない。
それに用事があるのは小杉一人だ。
後の雑魚にゃ用事はない。
後は二宮と草彅が小杉のガラを引っ張ってくるのを待つだけだった。
俺はその間動くことなく、喜多川に居た。
ある日、大野の幹部たちの墓参りに行ってないことにきづいた。
慎吾兄の墓にしか行けてなかった。
城島を呼び出して墓参りに行くことにした。
「総長、お久しぶりです」
「ああ…城島、どうだ?足の調子は」
「おかげさまで、絶不調ですわ」
「アホ。こんな時は不調でもいいって言えよ」
「ほんとのことですもん」
運転席には桐山が居た。
「総長…」
「おう。励んでるか?若衆頭」
「はい!おかげさまで…組長にも良くして貰ってます」
「亀梨とかにいじられてんじゃねえのか?」
「へへ…ちょっと…」
桐山がてへと笑うのを後ろから小突いてやった。
「車だせや」
車が走りだすと、城島が俺の顔を覗き込んだ。
「なんだよ」