第11章 竜に翼を得たる如し
午後になって相葉と松本を長部屋に呼び出した。
「総長…」
「ああ、悪かったな、忙しいのに。ま、座れ」
ソファに二人を座らせて、俺も向かいに座る。
「なにか…あったんですね…」
「ああ…」
タバコに火をつけると、後ろに凭れかかった。
「あのな…小杉をバラすことにした」
「え…?まだ…」
「ん。遠藤からの情報で、あいつは用なしになったからよ」
「どういうことです」
「公安から先、繋がった」
「依頼主ってやつですね…?」
「ああ…経産省だ」
「え…?」
相葉と松本の目が大きく見開かれた。
遠藤から聞いたことを話して聴かせると、ふたりとも黙りこんだ。
「翔の…」
「え?」
「翔の父親が、経産省にいる」
「…どういう…ことですか…」
松本が真剣な目でこちらをみている。
「そこはわからねえ…だから、小杉に聞いてみるしかねえんだ」
「…わかりました…」
「で、手を汚すのは、俺と草彅と二宮でやる」
「総長!」
「なんで…俺達も…」
「すまねえ…人数が少ないほうがいいだろう。公安の目もある」
「でも…!」
「二宮が、小杉のガードが硬いと言っていた。拉致るのに不便だから、お前ら引っ掻き回してくれねえか」