第11章 竜に翼を得たる如し
「っく…和也、出すぞ…」
「んっ…んうっ…一緒っ…」
「ああ…」
汗を流しながら和也の身体を貫いてる間、すべてを忘れられた。
救われた。
この瞬間だけは…
「あっ…あっ…んっ…もおっ…」
和也の両手が伸びてきて空を掻く。
その手を握りしめて、更に腰を突き上げるように打ち付けた。
おまえが居てくれるから…
和也の身体が弓なりに反り返った瞬間、俺たちは果てた。
身体から急に力が抜けて、和也の上に倒れこむ。
そっと背中に腕を回し、擦ってくれる。
「智…ずっと一緒だよ…」
「ああ…ついてこいよ…」
和也の手が俺の髪を撫でる。
その心地よさに、いつしか眠ってしまった。
もしも…
俺の考えていることが本当なら
翔はどれだけ冷たい所に居たんだろう…
死ぬ瞬間は怖くなかったか
死ぬ瞬間は憎しみしかなかったのか
悲しく…なかったんだろうか…
”智…おまえは沢山の人に守られて生きてるんだよ…”
俺を守って死んだんだと思ってた…
でもそれが違うとしたら…?
スタートラインを間違っている。
翔の線から…始めなければ真実にはたどり着かない。
確証が欲しい…
だから