第11章 竜に翼を得たる如し
「相葉ぁ…」
「はい」
「強くなれ」
「俺は…そんな…」
ぐずっと鼻を啜ってる。
またかお前は…
「お前はな、本当は俺よりも強いんだ」
「強くなんか…」
「二宮よりも…松本よりも…誰よりも強い」
「智さん…」
「だから、一人で立てや…お前ならできる」
真っ赤な目を俺に向けてきた。
「はい…」
「わからねえことは草彅にきけや。あいつも最近組長になったばかりだからよ」
「はは…一年生ですね…」
「ばか、あっちは昔、組持ってたんだ。先輩だ、ばか」
「わかりました。総長、ありがとうございます。お受けします」
きりっと相葉の表情に気合が入った。
「ああ…頼むな」
一礼して相葉が出て行くと、二宮とふたりきりになった。
「これで…あいつら大丈夫だな…」
「はい…」
ふたりで庭の池を暫く眺めた。
「和也…」
和也の手が伸びてきて、小指をからませた。
「ん…?」
「いや…なんでもない」
また二人、庭を眺めた。
「小杉…バラすぞ」
「…わかりました」
きゅっと小指に力が入った。
「準備…しておきます」
「ああ、頼んだ」
そっと絡んだ手を引き寄せて和也を抱きしめた。
「ああ…お前はあったかいなぁ…」