第11章 竜に翼を得たる如し
相葉に組を持たせることができて、一安心した。
幹部たちが会議室を去った後、庭の池をぼけっと眺めていたら、二宮につつかれた。
「…なんだよ?」
「相葉になんか言ってやってくださいよ…」
「あ?」
相葉を見ると、ぷるぷる震えてる。
「あー…なんだその…ま、受けとけ」
「総長!」
「なんだよ…」
「俺には組を背負うなんて無理です!」
「なに言ってんだよ…東山と近藤の厚意を無下にすんのか、てめえ」
「そうじゃなくて…!」
「松岡が…若頭がそう望んでる。それも俺のためだ。わかるな?」
「総長…」
「へたれてんじゃねえ」
「へたれてなんかないっ」
相葉は強い目で俺を見てきた。
「じゃあ、腹括れや」
「…あなたのために…身動きが取れなくなります…」
「なに言ってんだ…お前が補佐筆頭になったほうが、俺は身動きがとれんだよ。勘違いするな」
「総長…」
「相葉…おめえに大野やったほうが良かったのかもな…」
「そんなっ…」
「小杉とこんな長期戦になるとは思わなかったからよ…」
「……誰も、わからなかったことです」
相葉の顔に陰がさしてる。
本当は、お前も解放してやりたいよ…
でもな、背中に背負ったもん、もう下ろせねえんだよ。