第11章 竜に翼を得たる如し
「…わかった」
短く、東山が言った。
「それに関しては草彅が動くんだな?」
「ああ…」
「俺達の親父はお前だ。お前の判断なら、従う」
「…すまねえ」
「いや…サツが絡んでるとなると、な。俺達も黙っちゃいられねえからな…」
天井を向くと、ため息を付いた。
「…だからお前に殺すなって言ったのか…」
「え?」
「親父だよ…お前を跡目にするって言った時だ…」
「…わからねえ…」
「親父は、どこまで知ってたんだろうな…」
「さあな…」
親父は全部知っていたんだろうか…
なんで俺に教えなかったんだろう…
「全部片をつけてから、殺せ…そうも言ってたよな」
東山の呟きに、全員が俺の顔を見た。
「まだ糸口も掴めちゃいねえよ…」
「景子姐さんなら…知ってたんじゃねえか?」
ふっと笑いがこぼれた。
「あの人はもう堅気だ。それに…俺に言っていかなかったってことは、親父も姐さんも何か考えがあったんだろうよ」
立ちあがってブラインドを開けた。
外の光が眩しい。
遠くに龍の池が見える。
「だから…姐さんには触らねえ」
「そうか…」
国分と山口が立ちあがった。
「俺達にもできることがあったら言ってくれ」
「すまねえ。松岡の補佐を頼む」
「わかった…!」
会議室は、一つの意思を持ったようだった。