第11章 竜に翼を得たる如し
「で…?総長よ…」
近藤がテーブルに肘をついて、顔の前で手を組んだ。
「公安ってどういうことだ」
東山もじっと俺を見ている。
松岡が俺の方を振り返った。
「小杉と公安、なにか繋がりが?」
「ああ…小杉のシノギに公安が関わってる」
「…あいつ、サツのイヌなのか!」
「国分、落ち着け」
山口が国分を制した。
「総長…詳しく聞かせちゃくれねえか…」
「松尾組の件に関してもわかってるとこまででいいから…」
松岡の声を聞きながら灰皿にぎゅっとタバコを押し付けた。
「…まだわからないことが多い…」
「それはよ…」
東山が椅子に座って足を組んだ。
「大野からの遺恨なのか」
そう言われて少し黙りこんだ。
「個人的なことかと言われたらそうだとも言える。大野組は松尾組に10人以上の幹部が殺られてる。だが真の黒幕は…松尾じゃねえ」
「どういうことなんだよ…」
「松尾組を踊らせてたのは、小杉だ。小杉の裏に居たのは公安だ」
「なんだと…?なんでそんなこと…」
「だから、そこのネタが上がってねえんだ…」
背もたれに寄りかかると、息を一つ吐いた。
「若頭が関わってたとなりゃ…喜多川としては放っておけない。だから、個人的なこともあるが喜多川の総長としても見逃せない」