第11章 竜に翼を得たる如し
バタンとドアが閉じると会議室の中は失笑が起こった。
「チビりやがって…」
山口が呟くと松岡が立ちあがった。
「相葉、話は聞いているか」
「はい。総長から…」
「総長、相葉を若頭補佐筆頭にしても?」
「え…?」
「…構わねえが、他の連中が騒ぎ立てねえか?組も持たせちゃいねえのによ」
「お話中すいません」
草彅が割って入った。
「小杉を尾けますんで、失礼します」
「ああ…松本と一緒に」
「ええ…」
草彅は小走りで部屋を出て行った。
「松岡、続けろ」
「はい。総長との連絡役で、相葉が必要です」
「だが格がねえとよ…」
「…なら、俺のシマ分けますんで」
「え?」
「相葉に組を持たせてやってください」
「そんな!松岡の叔父貴…」
「いいって…お前は総長に近い。これから連絡を密にしなけりゃならねえ…若頭のこんな解任劇、黙ってる連中ばかりじゃねえ」
「そこは、俺のシマを分けよう」
「東山の兄貴…」
「松岡、お前は俺達の分ひっかぶってくれんだ。そのくらいさせてくれ」
「じゃあ俺からも…若頭補佐筆頭がな、小せえシマだと格好がつかねえだろ」
近藤も笑って手を上げた。
「ちょ…あの…」
相葉はポカンとしてた。