第11章 竜に翼を得たる如し
「飯島のシノギにちょっと関係してて…」
「だから、そのシノギがシャブなんだろうが?」
小杉が歯を食いしばる。
「その…」
「草彅」
「はい」
草彅は懐から紙を出した。
「総長喜多川智殿、懲罰委員会より物申し上げる。若頭小杉理宇造殿、麻薬売買の証拠あり。よって破門を求める」
「懲罰委員長草彅剛に申し渡す。若頭小杉理宇造、今までの功績あり。破門ではなく若頭から降格とする」
「ちょっと…!待ってくれ!総長!」
「…以上だ」
「懲罰委員、申し受けた。懲罰は現在からすぐ発動とする。異議はないか」
草彅が見渡すと山口と東山が立ちあがった。
「審議委員、審議の結果異議なし」
「執行部、異議なし」
「冗談だろ…こんなこと…」
「小杉、見苦しい」
近藤が鋭く言う。
「近藤の…東山も…智に取り込まれやがって…」
小杉が立ち上がりながら後ずさる。
「俺のシノギは先代から黙認されてる…」
東山がピクリと眉を動かした。
「喜多川じゃシャブはご法度だろうが…」
「今時、そんなこと言ってちゃあ極道なんて立ち行かねえだろうが!」
「それでも!」
びくりと小杉が震える。
「それでも親父が決めたことを守るのが子の勤めだろうが…」