第3章 取り残された竜
それから先は、地獄のような生活で…
毎日父親に殴られて、蹴られて。
夜には泥酔して眠る父親の横で、母親に犯されて。
気がついたら児童養護施設に保護されていた。
そして両親はついに、二宮に面会に来ることはなかったそうだ。
養護施設を出た二宮は大野組の下っ端になった。
きっとここなら、自分を殺してくれる。
そう、思ったんだそうだ。
「二宮…?」
「はい…」
「まだ死にてえか?」
そう言うと、二宮はまっすぐに俺の顔を見た。
「智さんは…?」
小さな声で俺に問うと、まつげを伏せた。
「まだ…死にたい…?」
そう言うと、俺のシャツのボタンを外して、胸に手を這わせた。
そこには大きな傷跡がある。
その傷跡を指で辿っていく。
「いかないで…智さん…」
「なんだよ…どこに…」
そう笑ってみても、二宮には通じない。
二宮はシャツのボタンを全て外すと、前を開いて胸に唇をつけた。
「熱い…ちゃんと、心臓動いてる…」
燃えるような目で俺を見ると、俺の身体に唇を這わせる。
「二宮…」
「智さん…欲しい…」
俺の腕を引くと、起き上がらせてシャツを脱がせた。
そのまま俺を抱きしめると、背中に指を這わせる。