第10章 夢路
翌日から、西村組の壊滅作戦は始まった。
事務所に一発鉛球をぶち込んで、火蓋は切られた。
短期決戦と決まっていたから、一斉に各所で争いは始まった。
段々と西村組は丸裸になっていく。
うちの組長もまあ…暴れまくって…
サツの目から隠すのに苦労した。
そんな中、西村組の組長が雲隠れした。
あと一歩というところまで追い込んだのに…
事態は膠着した。
「案外…肝が小せえのな…こうなるのわかっててな…」
組長は手にレンコンを持ちながら、コツコツと歩いている。
シリンダーを取り出して、銃弾を確認する。
カチャリと装填すると、セーフティーを解除する。
「なあ?お前の父ちゃん、どこ行ったんだ?」
ぺちぺちと頬を貼ると、西村の若頭は縮み上がった。
「かんべんしてくれよぉ…親父がどこ行ったかなんて…知らねえよ…」
「お前、若頭のくせに組長が…自分の父ちゃんがどこ行ったかしらねえのか?」
松本が西村の若頭を蹴り上げた。
「やめろや…」
組長が松本を見上げる。
松本は表情一つ変えず、そこに立っていた。
こいつは昂ぶってくると狂犬のようになることがある。
普段は抑え込んでいるんだろう。
爆発したら、誰も止められなかった。