第10章 夢路
弔い合戦が始まる…
喜多川からも人数をかき集めて、大野の事務所は満員御礼だった。
助っ人に来てくれた松岡の叔父貴たちもなにくれとなく面倒見てくれて、準備は整った。
「的は…松尾の傘下で、西村組」
長部屋で最終確認を幾度となくする。
齟齬があってはいけない。
そのくらい、慎重に事を運ばなければならない。
大野のメンツが掛かってる。
「西村組は雑魚も入れて30からの手下がいる」
「それを壊滅まで持ち込もうってのか…」
「松尾から横槍が入るだろ」
そこは小栗と話は付いているが、伏せている。
「入る前に片付けましょうや…」
俺が言うと、国分の叔父貴はにやりと笑った。
「頼もしい若頭だな」
「ありがとうございます」
カツンと革靴の音を鳴らして組長が立ちあがった。
「明日から」
「はい」
それで、全て決まった。
ドアの傍に立っていた長瀬がくしゃんとでかいくしゃみをした。
それで場の空気はほぐれた。
「智也…おめえ肝が座ってんな」
組長が笑うと、長瀬はポリポリと頭を掻いて恐縮した。
「若頭…」
「はい」
「今日はこれから城島の見舞いに行きたい」