第10章 夢路
「小杉は俺達がぶっ潰すんだから、今、親父に知られちゃまずいよな」
そう言って、ドアに凭れかかった。
「邪魔して悪かったな。じゃあ…」
そう言ってドアを閉めようとした。
咄嗟に呼び止めた。
「智っ…」
立ちあがって部屋に引きずり込んだ。
「翔っ!?」
ドアを閉めると、ぎゅっと抱きしめた。
真っ暗な部屋。
モニターのブルーライトが部屋を染める。
ただ、俺達は抱き合った。
「どうしたの…?翔…」
抱いてくれる智の腕が温かかった。
もっと…
もっと俺をその温かさで縛り付けてくれ。
「なんで泣いてるの…?」
いつの間にか、温かさに縋り付くように泣いていた。
智の髪に顔を埋めながら、声を上げていた。
「智…さとしぃ…」
「翔…どうしたんだよ…」
全て言ってしまいたい。
涼介のことも…全て…
抱きしめる腕に力を入れた。
だめだ…
全て終わってから…
あの海辺の家に行って、全て話そう。
智なら…全部受け止めてくれる。
俺のこと、包み込んでくれる…
誰よりも脆いくせに…誰よりも包んでくれる…
こんな小さい身体で…
俺のこと、全部受け止めてくれる…
こんなに愛しいと思う人は、他にはいない
涼介…ごめんな…