第10章 夢路
シゲからの報告は、大体俺の予想通りだった。
「ふ…ん。シゲ、引き続き調べてくれっか、この派閥争い」
「わかりました。小杉の方はどうします?」
「ん、エネ庁を優先してくれ」
「え?いいんですか…?」
「ああ…そっちは置いといていい」
報告を聞き終わって、大野へ取って返した。
そのまま自室に篭もり、姐さんから貰ったデータを開いた。
一刻も早く見たかったが、決心が付かなかった。
だからあんな回りくどいことをしてみたんだが…
いざ、ファイルを開けるとなると踏ん切りがつかなかった。
涼介…
なぜだか、思い出した。
もう暫く思い出すこともなかったんだが…
俺よりも年上なのに、可憐で…
あまりにも儚い命だった…
「俺の…せいなのにな…」
死ねないで彷徨っていたら、これ以上ないくらい愛する人と出会ってしまった。
「俺のこと恨んでるんだろうな…」
最後にあった時、涼介は泣いていた。
でも瞳に強い光を宿して…俺の手をぎゅっと握りしめて行った。
死ぬなんて…自分で命を断つなんて…
思いもしなかった…
それほど、涼介には耐えられないことだったのだろう。
俺の親父の言葉が