第10章 夢路
大野の家に帰って早速USBのファイルをパソコンに落とし込んだ。
USBはファイルを削除して、更に初期化しておいた。
そのままパソコンを持ってシゲの元に向かった。
マンションの部屋の鍵を開けて入ると、タバコの匂いがした。
玄関を入ってすぐにあるキッチンのドアを開けた。
「あっ…若頭」
キッチンの換気扇の下で、手越が慌ててタバコをもみ消した。
「大概にしとけバカ」
手越はまだ16歳だ。
一発殴りつけてからリビングに入った。
「祐也がなんかしましたか?」
慶がパソコンに向かいながらこちらを見た。
「モクってやがった」
「えっ…」
「教育きちんとしとけや。組長、そういうのにはうるせえんだから」
「はい…すんません」
「一回、高校んときの松本をボコボコにしてんだぞ?その上監督が行き届いてねえって、相葉まで監禁だ」
「えっ?」
「ブレザーのネクタイちゃんと締めてなかっただけでな」
「うわ…まじキツ…」
「だろ?監禁されたくなかったら、ちゃんとテメエが躾けとけ」
「はい」
慶が立ちあがってキッチンに入っていった。
奥で増田がくっくと笑っているのに、封筒に入ったUSBを投げつけておいた。
「それ、保管しとけ。どこにも出すなよ」