第10章 夢路
「どこのどいつだ…」
「…小杉です」
「え…?どういうことだ?」
「喜多川の若頭小杉です」
「それはわかった…だからどうして…?」
「総長のタマ狙ってました。それを俺たちが嗅ぎつけたのを感づいて…多分…」
まだ…この人には本当のことは言えない。
これは、俺の問題だ。
そう…俺の問題なんだ…
「は…なんでそんなこと…」
「小杉は中国のレアアースの投機に失敗しました。その損失を埋めるため、総長の座が欲しいのだと…」
「じゃあ小杉をぶっ殺せばいいじゃねえか…」
「組長…」
「なんで松尾の実行部隊なんか潰さなきゃいけないんだ」
「順序があります…実際にこっちを襲ってるのはあいつらだ」
ぎりっと爪を噛むと、組長は頷いた。
「…わかった…言うとおりにする…」
「小杉は…じっくり追い詰めましょうや…」
「ああ…あの野郎…」
なんで…
穏やかな時間をあげられないんだろう…
「智…」
そっと抱き寄せると、やっと爪を噛むのをやめた。
「もう…眠い…」
「じゃあ、寝室に行こうか…」
「ここで寝てもいい…?」
「いいよ…」
抱き上げて、そっとベッドに寝かす。
「翔も…」
「うん…」
布団を掛けると、俺も横に寝転がった。