第10章 夢路
風呂から上がって、すぐにシゲに連絡を取る。
経産省の幹部リストを、課長クラスから上、全て送ってくれるよう頼んだ。
自分の部屋でシゲからのメッセージを受け取って開いてみると、そこには目当ての物がなかった。
外局まで全て送るよう言いおいて、俺は目を閉じた。
間違ってなければ…エネ庁か…
小杉のレアアースの損失も、そこ絡みの誤情報だとしたら?
だったら…話が全部繋がる。
糸は、全て俺に向かっている。
シゲからのメッセージが届いて、目当ての物がそこにあるのを見て、また目の前が暗くなった。
やっぱり…
的は俺なのか。
「翔…?」
部屋のドアが開いたことも気づかなかった。
「組長…」
「どうしたの…?」
「ん…なんでもない…」
もう、組長の鎧は脱いでいた。
「おいで…」
抱き寄せると素直に腕に飛び込んできた。
「どこ行ってたの…?」
「ちょっと調べごとしてた」
「なんの?」
「松尾組のこと」
がばっと組長は起き上がった。
「なんかわかったのか」
「松尾の下部組織が実行部隊なのがわかりました。そこを襲撃したいと…」
「実行部隊ってことは…指図した奴は別でいるのか」
「まあ…そうなりますね…」