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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第10章 夢路


「小栗…」

生田を見送っていた小栗が俺に目を向けた。

「松尾の実行部隊はどこの組だ」
「小せえ組だ」
「…じゃあそこを大野がぶっ潰して手打ちだ」

小栗は片方の眉を釣り上げた。

「こっちはな…幹部を10人から殺されてんだ。そのくらい対価として考えてもらわねえとな…」
「それで本当に手打ちになるのか」
「こっちはそれができる。後はアンタ次第だ」
「…やってみる」
「松尾で話がついたら、連絡くれ」
「わかった」

背を向けて歩き出す。

「櫻井さん」

振り返ると、小栗は暗い眼の色をしていた。

「アンタ、的にされてる。気をつけろ」


大野の家に戻ると、組長が帰ってきていた。
飯も済ませて寝室で休んでいるという。
俺も飯を食って、風呂に入った。

その間、頭のなかをさっきの小栗と生田の話が回っていた。

経産省…

なんで…いや…なんでと言ったら愚問か…

浴槽に潜って水面に顔を出す。
天井を睨みながら、どうしたらいいか考えていた。

でも、なにも答えは出なかった。

なぜ今になってこんなことをしてくるのか。
やっとここまで来たのに…

天井から雫が一粒落ちてきた。
水面にぽちゃりと音を響かす。

殺すしか…ないのか

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