第10章 夢路
「俺達も、ちょっと調べ事しててね。その途中でわかったことなんだ…」
生田が言うと、今度は小栗が喋り始めた。
「今から俺がいうことは松尾組の総意ではない…」
「ああ…」
「若頭の俺としては、もう終わらせたい」
「よく言うぜ…何人こっちは殺されてっかわかってんのか?」
「…ああ…だがな…」
「んだよ」
「こっちももう、踊らされんのはごめんなんだ」
「踊らされる?大野のシマが欲しいんじゃねえのか?」
「松尾には金はある」
「はあ?じゃあなんでこんなことしてんだよ!」
「やらないと挙げられる」
「は?」
「全力で松尾を潰すと、公安が言ってきた」
「なんで…そんな狙い撃ちみたいなこと…」
小栗は足元に転がってる石を取った。
それを川面に投げると、俺を振り返った。
「松尾の人間と、お宅の小杉は臓器の密売をしている」
「え…?」
それは知らない話だった。
ということは、喜多川ではオープンになってない話だ。
本当の小杉の裏稼業か…
生田も同じく石を拾って川面に投げた。
ぽちゃんと音が聞こえると、また人のいい笑顔を見せた。
「その臓器の売り先がね…公安なんですよ。正確に言いえば小杉も、公安も仲介ですがね」