第10章 夢路
病院に着いて、問い合わせると慎吾さんは司法解剖に回されたとのことだった。
草彅の叔父貴に電話してみたら、病院の近くの公園に居た。
急いで行くと、叔父貴はベンチにぽつんと座っていた。
「草彅の叔父貴!」
叔父貴は気の抜けた顔を俺に向けた。
「おお…若頭…すまねえな。こんな時に…」
「何いってんですか!俺達が…」
「いや…それは構わねえんだ。出入りは極道の宿命みたいなもんだからよ…」
「叔父貴…」
「だがよ…おかしくねえか…?この抗争…」
「ええ…」
「土地の利権がらみで、ここまでのことにならねえだろ」
「はい…それは…俺もそう思います」
「…裏があんだな?」
「あります…」
あの3日の間、二宮やシゲに調べさせたことは、俺の頭に秘めてある。
やはり、松尾組組長の松尾と小杉には繋がりがあった。
シゲが松尾組のシステムにハッキングして得た情報は、衝撃的だった。
”大野をぶっつぶしたら、大野のシマは松尾にやる”
小杉がそう言ったというのだ。
そこまでの憎しみを買った覚えはない。
小杉は喜多川の若頭として充分に権力を振るっている。
若造のうちの組長なんか目にも入っていないはずだ。
なぜ…?なにがそうさせてる?