第9章 切迫の淵
「ありゃあ…相当チビってんなあ…」
「総長がこの前、白波瀬をあんなことにするからでしょ…」
この部屋には20人程が入れるほどの椅子が用意してある。
ぐるっとテーブルが四角に配置してある。
東山と近藤がニヤニヤしながら、テーブルについた。
それに続いて、皆着席して、俺は中央の席に座った。
二宮は俺の後ろに立っている。
「”あんなこと”にしたのはどこのどいつだよ…遠藤に突かれてかなわねえよ…」
本来なら、若頭である小杉はどの会合にも出ていなきゃならない。
総長に何かあった時に若頭が全権を握るからだ。
「小杉をハブったってことは…」
「総長…」
「…ああ…小杉にいろいろとな…」
草彅と山口が立ちあがった。
「懲罰委員会の申し立てにより、審議開始する」
二人が俺の顔をみた。
「審議」
皆一斉に頭を下げた。
草彅から、小杉の薬物売買と一家を通さない臓器売買が報告された。
公安のことはまだ表には出さない。
紙の資料は、こういう場では用意しない。
どこから漏れるかわからないからだ。
「ほ…シャブはなんとなく感づいてはいたが…臓器売買ね…」
「別にそれについちゃ否やはねえんだがな…一家を通してないんでな…」