第9章 切迫の淵
この日は喜多川の家に帰った。
俺は二宮と寝た。
腕に抱きしめて離さなかった。
二宮も俺にしがみついて離れなかった。
「明日っから俺の傍、離れんなよ…?」
「うん…」
外ではクールにしてるのに、俺の腕の中では素直な自分を見せる二宮が、かわいい。
翔…お前もこんな気分だったのか…?
「智…」
「…ん?」
ちゅっと首筋にキスがきた。
「欲しいのか?」
「ううん…ちょっといちゃいちゃしたかっただけ…」
「ばぁか…ちょっとで済むかよ」
パジャマを剥ぎとって、覆いかぶさると和也は笑った。
「智のせっかち…」
「和也のスケベ…」
そのまま、俺達は溺れた。
こうやっていれば…命の期限を考えずに済んだから。
翌日、事務所に行くと東山と近藤、山口と国分と松岡が揃っていた。草彅と松本も一緒にいる。
小杉が何事かという顔をしている。
「ああ…小杉。懲罰と審議の合同の打ち合わせだから…会議室に一日篭るから」
「なんの審議なんですか…?」
「まだ表にゃだせねえんだ。わりいな」
「この前の白波瀬のことと言い、若頭の俺を通してもらわねえと…」
「だから、まだお前を通すほどのことじゃねえって言ってんだよ」
有無を言わさないで、俺達は会議室に入った。
相葉は小杉の傍に残しておいて、二宮を連れて入った。