第9章 切迫の淵
夜になってシゲたちのマンションを訪ねた。
相葉と二宮、そして松本も一緒に連れてきた。
「お揃いで…」
そう言うと祐也は俺たちを中に入れてくれた。
廊下を歩いてリビングに出ると、そこには何台ものパソコンや無線機器があった。
俺たちを出迎えたシゲは隣のダイニングに使っている部屋に入れてくれた。
増田はパソコンに貼り付いたまま俺に頭を下げた。
祐也と慶が茶を出してくれて、そのまま立っている。
「悪いな。時間取らせて」
「いいえ…組長から俺たちを借りたいとおっしゃったと聞きましたが…」
「ああ…警視庁にハッキングできるか?痕跡を残さずに」
「そりゃあ…難しいこといいますね…」
「ばーか。ホワイトハウスにハッキングするやつがよく言うよ」
「ま、やってみますが。ネットワーク上にないやつは無理ですよ?」
「ああ…無理は言わねえよ。公安と組対だ」
「…公安は所在が分かれば…組対はいけます。5課でいいですね?」
「ああ…喜多川に貼り付いてるんだ。その情報の流れを」
「わかりました。祐也と慶にやらせます」
「それと…」
「はい、なんでしょう」
「お前、翔が死ぬ直前になんか調べてなかったか?」