第9章 切迫の淵
「そうですか…暫く動けませんね…」
「松本」
「はい」
「二宮に連絡とって戻らせろ。公安と組対がマークしてるから動かないほうがいい」
「わかりました」
松本はスマホを持って部屋を出て行った。
「草彅…小杉いじめてやろうか」
「ほう…」
「あいつがゲロったら、こんな手間とらなくていいだろ?」
「まあ…それが一番早いですがね…公安から先が警戒しませんかね…」
「まあどの程度やったらあいつがチビるかわからねえけどよ…今、身動きが取れないなら、小杉からいくしかねえと思うがな」
「わかりました…懲罰委員会で動きます」
「あと…そうだな…東山と近藤も巻き込めや」
「わかりました」
東山と近藤は、薄々小杉の商売のことに気づいてる。
日頃、二人には喜多川の表稼業の関係を全て任せているから、こっちにくることは少ない。
だから小杉に対しておおっぴらにはなんの行動も起こしていないが、快くは思っていない。
そして懲罰委員会には松岡がいる。
山口は審議委員長で、国分はその委員。
「松岡、山口、国分も巻き込んでいいぞ」
「ふ…総長の側近全部ですね…」
「だから重要なポストは任せたんだ」
松本が書斎に戻ってきた。
「すぐ戻るそうです」
「おし。また銃撃されたら弱るんでな」
「運転手居なくなりますからね」
草彅に混ぜっ返されて、苦笑いを返す。