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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第3章 取り残された竜


「お前に盃やるよ」
「えっ…喜多川の盃くれるの!?」
「いや、大野の盃」
「えっ…?どういうこと?」
「俺になんかあったとき、お前大野なんとかしてくれねえか?」
「兄…あんた、なにやるつもりなんだよ…」
「なんにも…?」

長瀬もなにか知ってる顔だ。

「あのな…俺が総長になったら、いろいろややこしいのわかるだろ?」
「それはわかるけど…死ぬみたいな言い方やめてくれよ」
「…死なねえって…」

笑ってみたけど、上手く笑えなかった。

「兄、盃は受けるけど…俺、あんたについていくからな」
「だめだ…お前には大野を背負って欲しいんだ」
「なんでだよ!盃もらったら、俺だって兄の家族だろうが!」
「俺は喜多川の養子になる」
「えっ…」
「だから…な?わかってくれや…」

長瀬は溜息をついた。

「…あんた…ほんとに…とんでもない男なんだな…」
「なんでだよ…」
「知らねえよ!わかったよ…大野組は…任せてくれよ…」
「…頼む…」


前の抗争で…
大野組の幹部は殆どが死んだ。
生き残ったのは城島と相葉だけ。
だから大野組は若い者しかいなかった。
なんとかそれでも体制を建て直して、ここまで持ってきた。
だが、ここで俺が喜多川の養子になるとしたら…
今の幹部たちは皆ついて来るだろう。
そうなったら、大野組が潰れるのは目に見えていた。

だから長瀬に後を託すことにしたんだ。

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