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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第9章 切迫の淵


「智…」

そんなことを思い出していたら、和也が目を覚ました。

「おう…目、痛くないか?」
「大丈夫…」

頬を撫でる俺の手を握って、和也は笑った。
本当に、綺麗だと思った。

「相葉と松本は帰ったから…」
「え…すんませんでしたっ…」

飛び起きた和也を笑いながら抱きしめる。

「大丈夫だって…」
「でもっ…総長っ」
「いいよ…もう今日は智と和也に戻ろうぜ」

背中に手を回して、ポンポンと叩くと和也の動きは止まった。

「すんません…」
「いいんだって…相葉も松本もなにも言ってないからよ」
「はい…」

和也が身体を離して俺を見た。
頬を染めて、恥じらうように…
ぎゅっと俺の服を握った。

「抱いてください…」



翌日から、二宮は俺と別行動するようになった。
警察に…多分公安の連中にマークされているから、気をつけるようにしつこいほど言っておいた。

二宮は子供じゃないんだから、一回でわかるとぷりぷり怒って出て行った。
なんだか…翔と居る時を思い出した。

心を許した二宮は、あの時の俺…
俺が翔…かあ?

「そんな器じゃねえよな…」

翔はどんなときも、俺の前では取り乱さなかった。
どんなときも…



死ぬ時ですら

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