• テキストサイズ

翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第9章 切迫の淵


両手をだらんと下げて待ってるのに、白波瀬は腰が抜けたように座り込んで立ち上がろうともしない。

「総長っ…勘弁してやってくださいっ…」
「佐藤、どけ」

佐藤が土下座をして必死で訴える。

「申し訳ありませんっ…組の解散だけはっ…」
「処分は東山と近藤がする。頼むんならそっちにしろ」
「総長っ…」

その時、突然白波瀬が立ちあがって俺に掴みかかってきた。

「智、てめえっ…なんでてめえが総長なんだっ…ケツ使ったのか…親父のこと誑し込みやがって…この男芸者がっ…」

一斉に幹部たちが動こうとしたその時、自然に身体が動いた。
白波瀬の胸ぐらを掴んで、顔を殴りつける。
一発で倒れなかったから、何回も殴りつけているうちに抵抗はなくなった。

「あ?なんつったよ…もう一回言ってみろよ」
「う…ぅ…」
「ケツで総長が手に入るんなら、ここにいるヤツらの何人かやってんだろうよ…金が欲しいやつなら、腐るほど居るんだからな…」
「もう…やめ…」
「てめえで火蓋切ったんだ…責任取れや」

手を離すと畳に崩れ落ちた。
脇腹を蹴りあげると、唸り声を上げて身体を縮ませた。

「俺がオトコゲイシャとやらなら、俺は総長になんかなってねえんだよ。親父を見くびるな。てめえが40年以上ついてきた頭を侮辱すんじゃねえよ」

はっと白波瀬は顔を上げた。

/ 541ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp