第9章 切迫の淵
四十九日は滞り無く終わった。
小杉が随分張り切って、取り仕切った。
相葉にべったりと張り付かせて、監視。
草彅と松本も懲罰委員として監視。
窮屈そうにしていたけど、ふてぶてしい態度は戻りつつあった。
小心者なりに腹を括ったんだろう。
坊主に食事をだして帰らせたあとは、喜多川一家だけで宴会となる。
「近藤、東山ちょっといいか?」
立ち話するように二人を呼んだ。
「総長…?」
怪訝な顔をする東山と近藤を廊下の窓辺に招き寄せた。
「あのな、このあと献杯の音頭…その時に発表がある」
「なんですか…?」
二人の耳元に口を寄せて囁く。
「えっ…そんなっ…」
「なんで…そんな大事なこと相談無しで…」
二人が俺に迫ってくるのを押しとどめて窓の外を見る。
「お前ら知ってんのか?あいつがシャブ売りさばいてること」
「え…?」
「草彅が証拠上げてきた…どうにもならないだろ…」
「あの野郎…」
近藤がぎりっと手を握る。
「いいか…?これはお前らだけに言っておく。後のことは任せるから」
「わかりました…」
「処分はこちらでやっていいんですね?」
「ああ…徹底的にな。頼むぞ」