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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第9章 切迫の淵


ソファに沈む松本の背中に手を置いた。
床に座ると、愛染明王を撫でた。

「松本…?」
「すんませんでした…」
「いいんだ…気にするな」
「俺…取り返しのつかないことを…」
「まあ…二宮にぶっ殺されっかもしれねえけどな…」
「いいです…殺されて…」
「ばぁか…俺がいいっつってんだろ」
「智さん…」

髪をぐしゃっと撫でた。
松本がクッションから顔を上げた。

「今だけ…俺はお前のものなんだろう?」
「え…?」
「これだけでいいのかよ」
「そんな…」

わかったことがあった。

翔は…あの時怖かったんだ。
俺が居なくなると思って…

だから…

「今日一日、やるよ」

ゆっくりと松本の顔に唇を近づけた。
松本の唇が少し開いた。
温かい…
そのまま舌を滑りこませた。
絡みあう唇を付けたまま、松本は起き上がった。
俺に覆いかぶさるように起きると、俺の顔を見つめた。

「充分です…ありがとうございました…」

脱ぎ散らかした服を手に取ると、身にまとって松本は部屋を出て行く。

「本当に…ありがとうございました…俺…」

ぐずっと鼻を啜る音が聴こえた。

「…二宮を呼びます」

そう言って部屋を出て行った。

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