第3章 取り残された竜
「は…大丈夫かよ…これM60じゃねえの…?」
「M60です。中国を経由しただけです」
「なら、安心だな」
ぽんぽんとジャケットの上から銃身を叩くと、外を眺めた。
「おい、その中国のルート…」
「はい。確保しました」
「じゃあ、スミス&ウエッソンの銃をなんでもいいから大量に集めろや」
「わかりました」
「後は…アメリカ製だけだ。それ以外はいらねえから」
「はい」
これからのことを思うと、遅すぎるくらいだ…
でも、親父が死ぬまで。
それまでは事態は動かないと見てる。
小杉の野郎、あんなきたねえ野郎だけど、親父が死ぬ前にドンパチやらかしたら、どうなるかちゃんとわかってんだろう。
その辺の小狡い計算だけは、得意なんだろうな…
唯一の計算外は…
俺のこと。
そうだろ?小杉さんよ…
俺がこんなに執念深くあんたのこと付け狙うなんて…
思ってなかったんだろ…?
「船でくるんか?」
「はい」
「じゃあ早く手配しろ」
「はい」
「親父の命があるうちに…」
相葉は黙って頷くと、電話を始めた。
二宮がルームミラー越しに俺を見ている。
そんな犬みたいな目ぇしたって、止まらねえよ?
もう、動き出しちまったんだ…
なあ?
翔…