第8章 竜鳴
部屋に帰ると東山と近藤、そして小杉が入ってきた。
後ろには相葉が続いている。
相葉は俺の顔をみると、ひとつ頷いた。
それぞれソファに座って俺の顔をみる。
一人がけのソファに座った俺は、タバコを咥える。
相葉が火を着けて行って、打ち合わせは始まった。
ほぼ俺の希望通り、後はそれぞれの腹心をねじ込んでくるくらいで終わった。
幹部会議でも多分同じことが起こるだろうから、席に若干の余裕を残して人事案は出来上がった。
「小杉、議事進行は東山にしてもらうぞ?」
「はい」
不満気だが葬式からこっち働きっぱなしで、ポカなんてやってもらったら困る。
東山は余裕の表情で書き込んだ紙を眺めている。
「…総長、二宮は?」
「あいつはいいんだ」
「いいんですか…?」
「ああ…俺の懐にいれとく」
「なるほど」
二宮に幹部なんてガチガチの立場をやったら、自由に動けなくなる。
だから敢えて、今回は外した。
多分、あいつは何も言わないだろう。
喜多川には俺を支持する連中がたくさんいる。
それは姐さんの残していってくれた遺産みたいなもんだ。
そして大野からは城島以外の幹部を根こそぎ連れて行く。
俺の体勢はこれで充分だった。