第8章 竜鳴
部屋を出ると相葉が廊下を歩いてくるところだった。
「相葉、ご苦労だったな」
「総長、お疲れ様でした」
「幹部会議、お前も出ろよ?」
「はい。わかってます」
「これから、海千山千の猛者と渡り合わなきゃいけないんだ。めそめそしてんじゃねえぞ」
ギクッと相葉の肩が揺れた。
盃に感動してうるうるしてんだから…
「しょ、食事整ってます」
「ああ。あんまり食欲ねえな…」
「だめです。食べて下さい」
「おまえは俺のかあちゃんか…」
彼女からかあちゃんに進化したな…
相葉に言われて溜まりに行くと、もうすでに食事が始まっていた。
小杉に上座を指されて座ると御膳が並べられた。
「急なのによく準備出来たな」
「懇意にしている仕出し屋が、ちょうど暇だったもので」
「ほう…無理やり暇にしてもらったのか」
「はい」
ふっと笑うと、小杉は傍を離れた。
東山と近藤が左右の座布団に座って食事を始めた。
「総長、打ち合わせしておいて欲しい」
「ああ…じゃあ後で姐さんの部屋に」
「わかりました」
「俺の頭には青図はあるんだけど、お前らはどうだ?」
「粗方、総長のお考えに従います」
「え…いいのか?」
「俺たちの顔色は伺わんでください」
二人に苦笑いされた。