第8章 竜鳴
城島はニッコリ笑うと足を崩した。
「すんません…情けない格好で…」
「何言ってんだ…お前は格好いいよ…」
衣服を全て脱ぎ去ると、松本が下着も脱がせた。
「まじ…ふんどしすんの…?」
「まあ、決まりなんで…」
ぎりぎりと褌を締められて、ちょっと情けない気分になる。
「ションベンどうやってすんだよ…」
「横からぺろっと出せばいいんです」
城島が気軽に言う。
「俺はお前みたいに江戸時代から生きてたわけじゃないから…」
「生きとらんわっ!」
次々に城島と松本の手で着物を着せられる。
出来上がってみたら、俺も馬子にも衣装だった。
「人のこと言えねえな…」
喜多川の紋付きを羽織る。
「総長、ご立派です」
「城島…後のこと、頼むぞ。お前しか居ないんだ」
「はい…頼りにしてもろて、ありがたいことです」
紋付きを持つ手が震えていた。
「城島…」
「ボン…辛いことがあったら言って下さい…」
「なんだよ…泣くなよ…」
「俺は…ボンが生まれた時から…」
「わかった…わかった…」
ポンポンと背中を撫でてやる。
松本が後ろに回って、紋付きの袖に手を通した。
「城島よ…喜多川から欲しい奴はいるか?」
「え…?」