第8章 竜鳴
「詳しいことは城島と加藤から聞いてくれ。後は全部お前に任せるからな」
「わかりました。加藤、よろしくな」
「こちらこそ…あまり極道してないんですが…俺たち…」
「俺たち?」
「あと、3人います。追ってご紹介しますから…」
「わかった。覚えておく」
加藤に手を振ると、礼をして部屋を出て行った。
「加藤はなにして稼いでるんですか?」
「インサイダー取引とか…いろいろ」
「へえ…インテリヤクザだ…」
「まあな…でもあいつら極道にして極道にあらずだから…あんまり厳しいこと言ってやるなよ?」
「わかりました…」
奥の襖が開いて、草彅が出てきた。
「おお…似合う…」
「やめてくださいよ…親父…」
「いや…そういうの着てるとこみたことなかったからよ…」
「大野の客分になってからは、正装することはありませんでしたからね…」
草彅は鍛えられた身体に、見事に紋付袴を着こなしていた。
ちょっと色は白いが、堂々たる姿だった。
「お次、総長どうぞ」
「ああ…」
立ち上がると、ジャケットを脱ぎながら座敷に入った。
「ボン…最後のお勤めさせていただきます…」
城島が畳に手をついて頭を下げた。
義足が痛そうで…
「足、崩せや…」