第8章 竜鳴
「ああ…なんでも言えや。代わって早々に大野を潰されちゃかなわんからな」
「言ってら…」
ちょっと笑うと、智也の表情が締まった。
「より発展させるのは難しいかもしれないけど…頑張ります」
「…ああ…」
タバコを咥えると、智也が火を着けた。
「ああ…そうだ。お前に紹介しときたい奴が居る」
「え?」
「ちょっと待ってろ」
スマホを取り出して電話した。
相手が近くにいるというので、部屋に呼んだ。
暫くするとノックの音。
「おう、入れや」
扉を開けて入ってきたのは加藤だった。
「よう…こっち来いや」
「はい…総長…お久しぶりです。本日は末席に…」
「ああ。お前も大野の一員だからな。ありがとよ」
「えっ…この人、大野組なの?」
「ああ。だから紹介するって言っただろ?」
加藤は背筋を伸ばして智也に頭を下げた。
「普段は表にはでておりませんが…大野組加藤成亮と申します」
「大野組の資金の8割叩き出してる。こいつは今日からお前にやるけどな…たまに借りるからな」
「わかりました…」
「元々は、翔の下に居たんだ…」
「えっ…翔さんの…」
「ああ…」
智也は俺の顔を見て、ちょっと悲しそうな顔をした。