第8章 竜鳴
「ええ…一緒にいけと言われたもので…」
くっくと笑いながら後ろをついてくる。
「おめえ、気色わりいから笑うな」
「いや…小杉の野郎がおもしれえなと思って…」
「言うな…俺だって笑いそうなんだ」
中に入ると、智也がソファに座っていた。
既に紋付袴に着替えている。
「お、智也…馬子にも衣装だな」
「からかわないでよ…」
口をとんがらせた。
「似合うって言ってんだよ。お前は背が高いから迫力あるなあ…」
「総長はちんちくりんだもんね」
「てめえ、東京湾で丸太抱かすぞ」
「おっかねえ」
首をすくめてお茶を啜った。
「じゃあ、お前から着替えてこいよ」
草彅に言うと、奥の座敷の戸を開けて入っていった。
「智也…」
「はい」
「バッジ、受け取ったか?」
「はい。頂きました。ありがとうございます」
「大事にしろよ…」
「…うん…」
智也は大事そうに懐からバッジを取り出した。
子供のような顔でそれを眺めている。
奥の座敷から松本が出てきた。
俺に茶を出すと、また座敷に戻っていった。
「お前、連れて行くのは中丸と亀梨と上田だけでいいのか?」
「うん…城島も居るし、なんかあったら相談してもいい?」