第8章 竜鳴
喜多川の家に行くと、すでに盃事の準備は整っていた。
「徹夜したのか…?」
智也に聞くと、苦笑いした。
「いえ、交代で寝かせてもらいました」
「ふうん…」
いや、寝てねえだろ…
「すまなかったな…喪中とはいえ、吉日が今日だったからよ…」
「いえ…一刻も早く大野の一員になりたかったんで。嬉しいっす」
「おう」
「あの…総長…」
「なんだ」
「おれ…大野を名乗らせて貰ってもいいですか…?」
「え?」
「喜多川は渡世名を使わないけど、大野は使わないって決まってないって城島が言ってました」
「…まあいいけどよ…」
「やった!じゃあ、俺、今日から大野智也!」
「ばか…はしゃぐな」
溜まりにつくと、喜多川の主だった幹部連中が集まっていた。
「ご苦労さん。今日、盃が終わったら幹部会議だ」
一斉に返事を返してくる。
頷くと、座布団が差し出されて上座に座る。
「小杉は?」
「まだ準備で走り回ってます」
近藤が答える。
「わかった…翼竜会の幹部も今度集めて欲しい」
「はい。いつ頃にしましょう」
「近いうちに。なるべく」
「わかりました」
「あと…東山」
「はい」
「今日組織を改変するから、それを遠藤に…」
「わかりました」