第8章 竜鳴
戻って氷枕を頭の下に当ててやる。
濡れタオルで二宮の身体を拭った。
足を持ち上げて、後ろから俺の出したものを掻きだした。
「あ…智…」
「起きたか…ごめんな。これしとかないと腹痛くなるからよ…」
「は、恥ずかしいから…」
「いいって…散々恥ずかしいことしといて…」
「そ、そうだけど」
全て終わって、バスローブを着せた。
俺も羽織っていたバスローブの裾を持って、二宮の横に滑りこんだ。
「明日、朝一で病院に戻れよ?」
「うん…」
シュンとして二宮は俯いた。
そっと髪を撫でると、俺の方を見た。
「いつでも、呼んで下さい」
「ああ…わかった」
二宮の方を向くと、胸に手を載せてぽんぽんと叩いてやった。
「もう寝ろ」
「はい…」
うつらうつらと眠り始めたのを見て、俺も目を閉じた。
「智…」
「ん…?」
「愛してる…」
二宮のつぶやきに応えられず、俺は二宮の手をギュッと握った。
「ああ…」
満足気な笑みを浮かべながら二宮はねむりの淵に落ちていく。
規則正しい寝息が聞こえてくると、引きずられるように俺も眠りに落ちた。
和也…お前だけは…
翌朝、目が覚めたら二宮は居なかった。
寝室を出ると控えていた若衆が、二宮が病院に戻ったと伝えてきた。