第8章 竜鳴
こぽっと二宮の口から音がする。
飲みきれなかった白濁が、口角から溢れ出す。
ずるりと口から出ると、口元を指で拭った。
「すまん…」
「智さん…」
「手荒な真似した…」
ゆっくりと二宮から降りて、横に寝転がる。
「大丈夫だよ…?」
二宮が抱きついてくる。
「俺、智が欲しいよ…」
「和也…」
「傍に…居させて…?」
「うん…」
ぎゅっと二宮を抱きしめた。
温かい…いや、熱い。
「ちょっとまて…お前、熱あるんじゃねえか?」
「大丈夫ですよ…大したことない…」
「いや、待てって…」
ベッドサイドの棚から、体温計を取り出した。
無理やり脇に挟む。
ちょっとの間待ったら、音がした。
取り出してみたら、38度近くあった。
「おまえ…病院戻すぞ」
「嫌。ここにいる」
「だめだって…傷のせいで熱でてんだろ…」
俺の手から、体温計が取り上げられた。
ポンと枕元に投げ出すと、その手は自分の股間に導かれた。
「苦しいよ…智…」
それはもう、滾っていて。
熱くて固くて…はちきれそうだった。
「お願い…抱いて…抱いて…」
傷ついた腕で、ぐいっと俺を引き寄せた。
「おいっ…和也っ…」