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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第8章 竜鳴


家に入ると、草彅はそのままヤサに戻っていった。
玄関を開けると、松本と城島が居た。

「おう。二宮どうだった」
「…それが…」

二人共後ろを振り返った。

「おかえりなさいまし、組長」

二宮が出てきた。

「…お前…」
「医者にもう一度診てもらって、外泊許可は貰っています」

青白い顔でそう言うと、塩の入った小皿を持ってきた。

「清めます」

仕方なく手をだらりと下げると、二宮は俺に向かって塩をふりかけた。
背中にもふりかけると、丁寧に礼をした。

「総長、おかえりなさいまし」

廊下に大野組の若衆が勢揃いしていた。

「総長、お疲れ様でございました」

口々に言っていく中を通り過ぎた。
最後の若衆のところまで来ると、俺は振り返った。

「皆、今日までご苦労だった。明日からは長瀬を盛り立ててやってくれ」

一斉に廊下に手をついて頭を下げた。

「お世話に…なりました…」

若衆頭の桐山が泣いていた。

「馬鹿野郎…泣く奴があるか…」
「俺も…付いて行きたかったです!」
「桐山…」
「でも…一刻も早く、総長の手足になれるよう…俺は…」

俺は頭を下げる桐山の元にしゃがんだ。
背中をぽんぽんと叩くと、顔を上げた。

「わかった…待ってるぞ」

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