第8章 竜鳴
精進落としが終わって客人たちは皆帰った。
喜多川一家の者も、後片付けが終わると引き上げていった。
ぽつんと最後に小杉と俺が残った。
草彅や相葉は外で待っている。
たばこを手に取ると、小杉がライターを差し出してきた。
一本取り出して口に咥えると、火を着けた。
深く吸い込んで吐き出すと紫煙が立ち上った。
俺も小杉も腹の探り合いをしていて、なかなか喋らない。
たばこがフィルター近くまで短くなる。
灰皿にぎゅっと押し付けると、俺は立ちあがった。
「今日は大野に戻る」
「わかりました」
「明日、頼むな。あと、四十九日もな」
「はい。準備はお任せ下さい」
今日は小杉が喜多川に泊まりこむ。
俺は明日からここに入るから、大野に帰る。
明日からは自分の家には、暫く戻らないつもりだ。
溜まりの襖があいて、智也が入ってきた。
「総長、お車準備出来ています」
「ああ…今行く」
立ち上がると、小杉も立ちあがった。
「小杉…」
「はい」
「中国のレアアースは、儲かったのか?」
びくっと肩を震わせると、俺から目を逸らした。
ふぅと息を吐くと、また俺と目を合わせた。
「中国は、ダメですね。大した利益は上がりませんでしたよ」