第8章 竜鳴
冷めた頭でそんなことを考えていたら、一通りそこにいるものが骨を拾い終えた。
職員は徐ろにほうきとちりとりのようなものを出した。
失礼しますと断りを入れてから、親父の骨を集め始めた。
その間も、坊主の読経は続く。
全て骨壷に収めたら、少し骨がはみ出していた。
また職員が断りを入れて、その骨を上からぎゅっと押さえつけた。
バリバリバリと音が聞こえて親父の骨は砕かれた。
こうしないと収まらない。
しょうがないことだが、親父の身体を砕かれたようで痛かった。
親父は…こんなに小さくなっちまった。
職員に促されて、その部屋を出る。
相葉と二宮が俺の腕を支えた。
「なにしやがる…大丈夫だ」
「いえ…顔色が悪いです」
「いいから…離せ」
ロビーに集まると、職員が骨箱に納めた骨壷を持ってきた。
帯に使えそうな豪華な布に親父は包まれていた。
俺が受け取ると、それでこの儀式は終了のようだった。
「智也」
少し潤んだ目をした智也は、俺のほうに駆けてきた。
「お前が持ってやれ」
「総長…」
「親父もそのほうが喜ぶだろ」
「…ありがとう…ございます…」
肩を落とした智也はぽろりと涙を零した。