第8章 竜鳴
明日の段取りを小杉と打ち合わせているうちに、火葬場についた。
相変わらず相葉は不満顔で…
「そんな顔すんな…しょうがねえだろ。総長になっちまったんだから…」
「でも俺が準備してきたのに…」
「だから明日は小杉とよく打ち合わせて、ちゃんと手順からなにから覚えちまえ、な?」
「…わかりました…」
おまえは俺の彼女か…
棺を火葬場の中に入れてもらうと、その後からぞろぞろと幹部連中がついてく。
どれも歴戦の勇者で…面構えが半端ねえ。
そんな中、心は非常に穏やかで。
親父の写真を見つめながら、これからのことを次々と考えていった。
「あ…おい、城島」
「なんでしょう」
すぐちかくに居た城島を呼ぶ。
「あんな。親父の骨拾ったら、二宮を病院に戻してくれ」
「あ…そうですね。うっかりしてました」
「本人が嫌がっても連れてってくれ。松本使ってもいいから」
「わかりました」
城島は離れていくと松本に耳打ちしに行った。
松本はちらりと俺を見ると、こくんと頷いた。
やがて読経が始まった。
これだけ怖い顔の連中が神妙に数珠を持っているのがなんだかおかしかった。
俺は先頭でただ、親父の棺を見ていた。
読経が終わると、親父の棺は炉の中に飲み込まれていった。